表現論基礎・演習 (2024年度)

2024年3月23日07:59作成

2024年5月13日13:57更新

授業の日時と場所

  • 月曜日1,2時限
  • C502大講義室

授業の概要

この授業のテーマは古典群の表現論です.

一般線型群や直交群,斜交群など,対合付き代数の“単元群’’として得られる代数群を古典群と総称しています.実数体や複素数体上の古典群は半単純,あるいは簡約なリー群と呼ばれる,表現論の中心的な研究対象の代表例です.また球面や双曲面のような重要な多様体が古典群の等質空間となるため,幾何学的な動機からも深く考察されてきました.

この授業では係数体をp進数体なども含めた局所(コンパクト)体に広げて,その上の古典群の表現論に関する近年の進展について紹介します.さらにその帰結を用いた,古典群の保型表現の記述に関するLanglands, Kottwitz-Shelstad, Arthur, Moeglin-Waldspurgerの結果を概説します.

授業予定

以下はあくまで予定です.諸般の事情や,授業の進行状況などにより,変更されることがあります.

4月15日 導入

  • 事務連絡:授業の目標,レポートの説明
  • 群の表現—有限群の場合
    • 有限群の表現とその大事な例
    • 表現の間のG準同型,G同型
    • 部分表現と既約な表現
    • 表現論の基本問題
  • 古典的な応用例:\mathbb{Z}/3\mathbb{Z}上の調和解析と3次方程式
  • 局所コンパクトアーベル群への拡張:調和解析
    • 指標とPontrjagin双対群
    • Fourier変換とFourier逆変換公式
    • 例1:\mathbb{R}/\mathbb{Z}上の関数のFourier展開
    • 例2:\mathbb{R}上のシュワルツ関数のFourier変換
  • 今後の予定

4月22日 局所体と代数的数体のアデール環

  • 局所体
    • 局所体とその母数|\ |_{F}, アルキメデス,非アルキメデス局所体
    • 局所体の例:\mathbb{R}, \mathbb{C}と$p$進数体\mathbb{Q}_{p}
  • 非アルキメデス局所体の構造
    • 整数環\mathcal{O}_{F}, 極大イデアル\wp_{F}\subset\mathcal{O}_{F}, 剰余体k_{F}とその位数q_{F}
    • 母数の像|F^{\times}|_{F}と付値\mathrm{val}_{F}
  • 非アルキメデス局所体の有限次拡大E/Fの構造
    • 剰余次数f_{E/F}と分岐指数e_{E/F}
    • 不分岐拡大と幾何的Frobenius元
  • 代数体のアデール環
    • 代数体Fの完備化と素点
    • \mathbb{Q}の素点
    • 代数体の素点の分類:中国式剰余定理
    • アデール環\mathbb{A}_{F}の定義,位相環構造
    • \mathbb{A}_{F}の構造

4月30日 休講

5月6日 こどもの日

5月13日 加法群の表現—Fourier変換

  • 代数群としての加法群V_{a}=\mathrm{Spm}(\mathrm{Sym}(V^{\vee}))
  • Pontrjagin双対性
    • 局所コンパクトアーベル群\boldsymbol{G}の指標
    • \boldsymbol{G}のPontrjagin双対群\boldsymbol{G}^{D}
    • Pontrjagin双対性定理
    • Fourier変換とFourier逆変換公式
  • 局所体上の調和解析
    • 局所体上の加法指標,非自明な加法指標の存在
    • 局所体の自己双対性: V^{\vee}\overset{{}_{\sim}}{\longrightarrow} V^{D}, (v^{\vee}\mapsto \psi(\langle v^{\vee},v\rangle))
    • 非アルキメデス的な場合:Schwartz-Bruhat空間上のFourier変換\mathcal{F}_{\psi} : \mathcal{S}(V)\overset{{}_{\sim}}{\rightarrow} \mathcal{S}(V^{\vee})
    • アルキメデス的な場合:Standard関数の空間上のFourier変換\mathcal{F}_{\psi} : \mathcal{S}_{h}(V)\overset{{}_{\sim}}{\rightarrow} \mathcal{S}_{h_{\psi}^{\vee}}(V^{\vee})
  • スペクトル分解
    • Vの正則表現(R,L^{2}(V))
    • ユニタリ作用素\mathcal{F}_{\psi} : L^{2}(V)\overset{{}_{\sim}}{\rightarrow} L^{2}(V^{\vee})

5月20日 乗法群の表現—Weil群

5月27日 トーラスのLanglands対応

6月3日 \mathrm{GL}_{n}(F)の既約表現

6月10日 Weil-Deligne群と局所Langlands対応

6月17日 Gelbart-Piatetskii-Shapiro-Shalika理論

6月24日 \mathrm{GL}_{n}の保型表現

7月1日 古典群の表現論の基礎

7月8日 LおよびAパラメーター

7月15日 海の日

7月22日 古典群の局所Langlands対応

7月29日 古典群の保型表現