2023年9月18日作成
2024年1月22日16:21更新
授業の日時,教室
- 対象クラス:S1-22, 23
- 月曜日3時限目
- センター2号館4階2406教室
教科書
この授業は次の教科書に沿って進めます.特に演習は教科書中の演習問題を中心に行います.微分積分学講義 野村隆昭 著 共立出版
授業の進め方,演習について
演習でスタート
- 毎回の授業の最後に,次回の演習解答者を指名します.
- 指名された人は翌週の授業が始まるまでに,担当の問題の解答と,自分の学籍番号と氏名を黒板に板書しておいてください.わからなければ教科書末などにある解答を見ても構いませんが,その場合には,解答を丸写しにするのではなく,自分の言葉でかみくだいて板書してください.
- 板書してくれた解答を私が添削しながら解説することで演習を進めます.
重要ポイント:演習問題は必ず自分で説いてみておくことが大切です.解答者として指名されていない問題も含め,全ての演習問題を各自で解いておくようにしてください.
大学の授業はクラスの人数が多く,担当教員が全ての受講者を毎回ケアすることはできません.各自で自分の理解度を計り,必要があれば授業後に質問に来るなどの対策を取るようにしましょう.
続いて講義
一般に数学の講義では
- 基本的な概念の説明 (定義と呼ばれます)
- それらの概念の大切な性質 (定理や命題と呼ばれます)
- 上の基本性質を用いて計算したり,問題を解決する方法 (例題)
についてお話しします.基本性質がなぜ成り立つかという理由の説明は「証明」と呼ばれます.証明は基本性質の内容をより深く理解するために説明されるもので,暗記する必要はありません.
講義の最後に,次回の演習の解答者を指名します.
授業予定
以下はあくまで予定であり,事情により随時変更されることがあります.
10月10日 ユークリッド空間と関数の極限
- ガイダンス(今学期の学習内容,勉強法など)
- Euclid空間
- の内積,直交関係とノルム
- Pythagorasの定理とCauchy-Schwartzの不等式.
- ノルムの公理
- Euclid空間の位相
- 近傍
- 部分集合の内点の集合, 外点の集合, 境界点の集合
- の開集合と閉集合
- 連続曲線と(弧状)連結部分集合
- 領域
- 多変数関数の極限の定義と例
10月16日 偏微分と全微分
- の部分集合上の連続関数
- 方向微分. 特に偏微分, .
- 全微分可能性,全微分可能 連続
- 級関数
- 級 全微分可能 全方向で方向微分可能 偏微分可能
- 関数の勾配
10月23日 Jacobi行列と連鎖律
- 領域上の偏微分可能な写像
- そのJacobi行列
- 連鎖律
10月30日 高階の偏導関数とTaylorの定理
- 高階偏導関数
- 2階偏導関数, , ,
- 級関数の回偏導関数は順序によらない.
- Taylorの定理
- 級関数, , s.t. , (),
- Landauの記号を使ったTaylorの定理とTaylor多項式の一意性
11月13日 二次形式と2変数関数の極値
二次形式
- 変数二次形式
- 正定値,負定値,および不定値二次形式
- 2変数二次形式の小行列式による正,負,および不定値の判定
2変数関数の極値
- 級関数のHesse行列
- 級関数のTaylorの定理
- がで極値を取るなら,
- さらにが正定値 (resp. 負定値)なら,は極小値 (resp. 極大値), 不定値なら極値ではない.
11月20日 陰関数
- 平面曲線,その非特異点
- 陰関数定理 (2変数の場合) とその証明
- 陰関数定理 (高次元の場合),線型写像の場合の例
11月27日 条件付き極値問題
- 中間テストの連絡
- 平面曲線の特異点:孤立点,結節点,尖点
- Lagrangeの未定乗数法
- 2変数の場合の補足:条件付き極値の十分条件
12月4日 矩形上の重積分
- 矩形の分割 (はの,はの分割)
- 有界関数の
下限和,
上限和 - 有界関数の積分可能性,そのときの重積分
- Darbouxの定理7.4
- 矩形上の連続関数は上で積分可能.
- 部分集合の特性関数
- 部分集合が面積確定であることの定義
12月11日 中間テスト
12月18日 重積分と累次積分
- 一般の有界部分集合上の有界関数の積分可能性の定義
- 定理7.19:面積確定な部分集合上の連続関数は積分可能.
- 重積分の基本性質
- 線型性
- 正値性
- 積分領域についての加法性
- 縦線集合上の連続関数の累次積分
12月25日 変数変換と広義重積分
- 重積分の変数変換 (テキスト7.6, p.190〜)
- Jacobi行列式 (Jacobian)
- 単射かつ submersive な級変数変換に対して
- 例:極座標変換
- 広義重積分 (テキスト7.8節 p.198〜)
- 有界でない面積確定集合
- 広義重積分の定義
- 有界でない面積確定集合の近似増加列
- 1つの近似増加列に対して
があれば,は$S$上で広義積分可能で,その広義積分は上の極限に一致する. - 例:正規分布が確率分布であることの証明
1月9日 微分方程式とは
- n階(常)微分方程式とその解,初期条件
- 正規形の微分方程式
- 微分方程式の一般解,特殊解,特異解
- 解法11.4 自励系
- 1階微分方程式の求積法:変数分離形,同次1階微分方程式
1月15日 線形微分方程式
- 末テストの連絡
- 1階線形微分方程式
- 線形微分方程式.
のとき斉次方程式と呼ばれる. - 1階線形微分方程式の解の公式
- 応用1. Bernoulli方程式
- 応用2. Riccati方程式
- 線形微分方程式.
- 2階斉次線形方程式
- 2階の斉次線形微分方程式の解空間と,Wronski行列式
- 行列の指数関数(概説)
- での Jordan 標準形
- 定数係数の2階斉次微分方程式の解法
1月22日 非斉次線形微分方程式
- 定数変化法
斉次方程式の解空間の基底に対して,の一般解は - 定数係数の非斉次方程式.
- が多項式のとき
- が指数関数と多項式の積のとき