2019年3月14日11:44作成
2019年7月30日18:41更新
授業の日時、場所
- 火曜日4時限目
- 2105教室
教科書
この授業は次の教科書に沿って進めます。特に演習は教科書中の演習問題を中心に行います。
微分積分講義 南和彦 著 裳華房
授業の進め方、演習について
- 毎回授業の最初に演習をします。
- 前回の授業のときにそれぞれの演習問題の解答者を指名しておきます。指名された人は授業時間が始まるまでに黒板に解答を書いておいてください。教科書の巻末にある解答を写すのではなく、自分の理解を反映して自身の言葉で書いてください。それが自分のためにもクラスメートのためにも大切です。
- 黒板の解答に沿って、理解すべき点や解答で書くべきことを私が説明します。なるべくきちんとした解答が黒板に残るように朱筆を加えますが、説明の方もよく聞いてください。
- なお、再履修の方は学期半ばまで履修者名簿に名前がないため、こちらから指名するのは難しいかもしれません。積極的に自分から名乗り出て演習を解くようにしてください。
- 続いて講義を行います。講義では
- 基本的な概念 (定義) の説明。
- それらの概念の満たす性質 (命題、定理など)。
- それらの性質を使って計算する方法 (例題) の解説。
についてお話しします。ときどき命題や定理の証明もしますが、それは内容をよりよく理解して使えるようになってもらうためで、証明を覚える必要は特にありません。
- 最後に次回の演習の解答者を決めます。基本的にはこちらで指名します。演習では主に教科書の問や章末問題を解いてもらいます。
- いうまでもなく数学は自分で考えて練習問題を解くことで理解していく科目です。毎回の練習問題は解答者だけでなく履修者全員の宿題です。1時間やそこらで解ける量ですから、必ず授業があったその日のうちに解いて、習った内容を理解しておきましょう。一人では解けないときには皆で相談し、助け合って問題を解くことも大切な演習の目的です。
授業内容
4月
9日 実数列とその極限
1.1. 記号と慣習
- 開区間,閉区間,半開区間
- 任意の()とある()に対して
- 実数の性質(1) 大小関係
- 実数の性質(2) 絶対値
- 上に(下に)有界なの上界(下界),上限 (下限).
- 実数の性質(3) 連続性の公理:が上に有界ならが存在する.
1.2. 数列の極限
- 数列の収束の定義
- 定理1.2:四則演算との可換性
- 定理1.3:はさみうちの原理
命題 上に有界な単調増加数列はその上限に収束する.
演習問題:教科書の練習問題1.1, 1.2.
16日 関数とその連続性
2.1. 写像と関数
- 写像と関数,その定義域,終域,像(値域).
- 単射,全射,全単射とその逆写像.
- 合成写像
2.2. 関数の極限と連続性
- 関数の極限,左右極限.
- 関数の連続性.
2.3. 連続関数の性質
- 連続関数の合成は連続
- 定理1.11: 最大値,最小値の存在.
- 定理1.12: 中間値定理.
- 定理1.13: ; 狭義単調連続なら,逆関数も連続.
2.4. 演習問題
教科書の練習問題1.3, 1.4, 1.5.
23日 休講
30日 退位の礼のため休講
5月
7日 初等関数(引用のみ)
3.1. 初等関数
- 多項式と有理関数
- 無理関数
- 指数関数,対数関数
- 三角関数, ,
- 連続で狭義単調な関数は可逆である.
- 逆三角関数:, , .
- 双曲線関数:, , .
- 逆双曲線関数, , .
3.2. 演習問題
教科書の練習問題1.7, 1.8, 1.9.
14日 微分と導関数
4.1. 微分
定義 (1)関数のでの平均変化率関数
がで微分可能 (differentiable) (resp. 右/左微分可能)
(resp. )が存在.
(2) が上で微分可能,つまり任意ので微分可能なとき,
をの導関数 (derived function)という.
- 定理2.3: 四則演算と導関数.特にLeibniz則.
- 定理2.4: 連鎖律
定理2.5. が連続かつ狭義単調,で微分可能,, のとき,は微分可能で
4.2. 演習問題
教科書問題2.1の(2), (5), (8), 教科書問題2.3.
21日 平均値定理
5.1. 平均値の定理
定理2.9 (平均値の定理). 連続関数がで微分可能なとき,
定理2.8 (Rolleの定理). 連続関数がで微分可能で,を満たすとき,
5.2. 関数の増減と極値
- 定義2.5. 極値と広義の極値.
- 定理2.10. 導関数の符号と関数の増減の関係.
- 極値点では導関数が消えていること.
5.3. 演習問題
教科書問題2.4の(1), (3), (5), 問題2.5.
28日 Taylor の定理
6.1. 高階導関数
- 級関数,級関数の定義4.43. 記号, など.
6.2. Taylorの定理
定理2.13 (Cauchyの平均値定理). , ;連続,上で微分可能.
かつ, ()
s.t.
定理2.14 (Taylorの定理). が回微分可能なとき,, , s.t.
極値の十分条件: が級で,でのとき,
- ならばはで極小値を取る.
- ならばはで極大値を取る.
6.3. 演習問題
教科書問題2.8 (1), 問題2.9 (1), (3), (6).
6月
4日 関数の増大度
7.1. 無限大・小の比較
- Landauの記号
- Landauの記号を用いたTaylorの定理の記述:
- 例:指数,対数,三角関数
- 対数,多項式,指数オーダーの比較
- 不定形の極限(1): Taylorの定理
- 不定形の極限(2): L’Hôpitalの定理. が連続で上で微分可能,さらにかつは上で消えていないとする.このときが存在すれば,.
7.2. 演習問題
教科書の問題2.14 (2), (5), (8), 問題2.16
11日 定積分
- 区間の分割 (partition) . の分節 (segment) . ; 分節の幅..
- ;有界関数. ; の分割., ().
- 分割がの細分 (refinement)とは,任意のがあるに含まれること.そのとき
が定まる.
- ;有界関数 が可積分
. そのとき
Darbouxの定理. , .
主張. 閉区間上の連続関数は一様連続: , s.t.
定理. ; 連続関数は積分可能.
18日 中間テスト
25日 不定積分と定積分
10.1. 定積分の性質
(1)線型性.
(2)正値性., ()ならば
さらにが連続でならば,, ().
(3)区間に関する加法性.
- 上の(3)を受けて,
と定める.
微積分学の基本定理3.2 (fundamental theorem of calculus) が連続関数であるとき,任意のに対して
はで微分可能で,, ().
- 連続関数は原始関数を持ち,それはの不定積分 (indefinite integral or antiderivative)
10.2. 演習問題
問題3.1, 3.2, 3.3.
7月
2日 原始関数の計算方法
11.1. 積分の計算方法
- 部分積分(定理3.10)
- 置換積分(定理3.11)
有理関数の原始関数(3.3節)
多項式, に対して,
と展開.(は多項式).
この右辺の多項式を除く各項の不定積分は次で計算できる.
については,とおいて, ()と書く.
は漸化式
による.
11.2. 演習問題
問題3.4 (2), (4), 問題3.5 (2), 問題3.12 (2), 問題3.13 (4)
9日 広義積分
12.1. 原始関数の計算(つづき)
- 三角関数の有理式(教科書3.4.1)
- 無理式—根号の中が1次式のとき
- 無理式の場合—根号の中身が2次式のときは省略
12.2. 広義積分
- 定義3.2. ();連続関数. ()でもよい.
が存在するとき,これを広義積分
と呼ぶ.
- 積分記号で書かれているが,定積分の極限であることに注意.
- 収束の判定条件: の広義積分が収束するためには,, ()の有界性が必要十分.
- 絶対収束による収束判定:定理3.13 (3).
12.3. 演習問題
問題3.9 (1),(2),問題3.15 (2),(6),問題3.17 (4)
16日 月曜授業日
23日 復習と質問
13.1. 授業アンケート
13.2. 積分法のまとめ
- 区間の分割とRiemann和
- の上限との下限が一致するとき,それを定積分と定義した.
- 区分的に連続関数は積分可能.
- 積分の基本性質:線型性,区間についての加法性,正値性.
- 微積分学の基本定理,原始関数と不定積分
- 不定積分の計算方法.
- 広義積分は積分の極限.有界性から収束が示せる.
- ガンマ関数とベータ関数
30日 期末テスト
成績評価について
成績は中間、期末テストの結果を総合的に判断して行います。
中間テストについて
- 6月18日の授業の時間に中間テストを行いました.
- 範囲は教科書の1章〜2章,4月9日から6月4日までの授業内容と,4月16日から6月11日までの演習内容です.
- 教科書,ノートなどの持ち込みは禁止します.試験当日は学生証と計時機能のみを持つ時計を持参してください.試験中の飲食は禁止します.
- 忌引,傷病などでやむを得ず欠席する場合は,試験開始時刻までに基幹教育教務係まで連絡してください.
期末テストについて
- 7月30日の授業の時間に期末テストを行いました.
- 範囲は教科書の3章 1変数関数の積分と,6月11日から7月9日の授業内容です.
- 教科書,ノートなどの持ち込みは禁止します.試験当日は学生証と計時機能のみを持つ時計を持参してください.試験中の飲食は禁止します.
- 忌引,傷病などでやむを得ず欠席する場合は,試験開始時刻までに基幹教育教務係まで連絡してください.