2019年3月14日10:27作成
2019年7月29日11:48更新
授業の日時、場所
- 月曜日1時限目
- 2103教室
教科書
この授業は次の教科書に沿って進めます。特に演習は教科書中の演習問題を中心に行います。
微分積分学講義 野村隆昭 著 共立出版
授業の進め方、演習について
- 毎回授業の最初に演習をします。
- 前回の授業のときにそれぞれの演習問題の解答者を指名しておきます。指名された人は授業時間が始まるまでに黒板に解答を書いておいてください。教科書の巻末にある解答を写すのではなく、自分の理解を反映して自身の言葉で書いてください。それが自分のためにもクラスメートのためにも大切です。
- 黒板の解答に沿って、理解すべき点や解答で書くべきことを私が説明します。なるべくきちんとした解答が黒板に残るように朱筆を加えますが、説明の方もよく聞いてください。
- なお、再履修の方は学期半ばまで履修者名簿に名前がないため、こちらから指名するのは難しいかもしれません。積極的に自分から名乗り出て演習を解くようにしてください。
- 続いて講義を行います。講義では
- 基本的な概念 (定義) の説明。
- それらの概念の満たす性質 (命題、定理など)。
- それらの性質を使って計算する方法 (例題) の解説。
についてお話しします。ときどき命題や定理の証明もしますが、それは内容をよりよく理解して使えるようになってもらうためで、証明を覚える必要は特にありません。
- 最後に次回の演習の解答者を決めます。基本的にはこちらで指名します。演習では主に教科書の問や章末問題を解いてもらいます。
- いうまでもなく数学は自分で考えて練習問題を解くことで理解していく科目です。毎回の練習問題は解答者だけでなく履修者全員の宿題です。1時間やそこらで解ける量ですから、必ず授業があったその日のうちに解いて、習った内容を理解しておきましょう。一人では解けないときには皆で相談し、助け合って問題を解くことも大切な演習の目的です。
授業内容
4月8日 数列と関数の極限
1.1. 記号と慣習
- 開区間,閉区間,半開区間
- 任意の()とある()に対して
- 写像とその定義域
- 二項係数はと書く.
1.2. 数列の極限
- 写像を数列といい,で表す.
- 数列の収束の定義2.3.
4月15日 実数の連続性
2.1. 数列の極限の補足
- , の定義と例.
2.2. 実数の連続性
- 実数の部分集合の切断.
- Dedekind の切断 (実数の連続性)
- 上・下に有界な集合,上界と下界,上限と下限.
- 連続性の公理の言い換え:の任意の上に有界な部分集合の上限が存在する.
- 応用:上に有界な単調増加数列はその上限に収束する.
2.3. 演習問題
問題2.1. 次の数列の極限を求めよ.
教科書の問題2.24
教科書の問題3.16
4月22日 関数の極限と連続関数
3.1. 関数の極限
- 関数の極限の定義2.25: –論法.
- 左右極限の定義2.28.
3.2. 関数の連続性
- 区間上で定義された関数の連続性の定義2.32.
- 合成関数の連続性:定理2.36と四則演算は連続性を保つこと:命題2.37
- 中間値の定理3.24
- Bolzano-Weierstrassの定理3.21
- 最大,最小値の存在定理3.25
3.3. 演習問題
教科書21ページの問題2.33.
問題3.2. 関数は連続かどうかを判定せよ.
4月29日 昭和の日
5月6日 こどもの日振替休日
5月13日 微分と導関数
4.1. 微分
- 関数のでの平均変化率関数
- がで微分可能 (differentiable) が存在, が上の連続関数に延びる.
- が上で微分可能,つまり任意ので微分可能なとき,関数
をの導関数 (derived function)という.
4.2. 微分の基本性質
命題 4.3. 微分の線型性,Leibnitz ルール,商の微分.
定理 4.4 (合成関数の微分).
5月20日 微分の性質
5.1. 逆関数とその微分
定理4.8. が連続かつ単射(一対一)ならば,は狭義単調.
定理4.9. が連続かつ狭義単調のとき,の最小,最大値をそれぞれ, とすると,中間値の定理から. よって
が定まるが,これは狭義単調で連続.
定理4.10. が連続かつ狭義単調で,で微分可能かつ, のとき,は微分可能で
逆三角関数
5.2. 平均値の定理
定理4.22 (平均値の定理). 連続関数がで微分可能なとき,
証明は次に帰着する.
定理4.21 (Rolleの定理). 連続関数がで微分可能で,を満たすとき,
5.3. 演習問題
教科書p.39の問題4.15,問題4.17. 教科書p.40の問題4.20. 教科書p.42の問題4.23.
5月27日 Taylor の定理
6.1. Taylorの定理
- 級関数,級関数の定義4.43. 記号, , など.
定理4.40 (Leibnizルール).
定理4.45 (Taylorの定理) ;回微分可能, .
, s.t.
命題4.50 (極値の十分条件) が級で,でのとき,
- ならばはで極小値を取る.
- ならばはで極大値を取る.
6.2. 演習問題
教科書の問題4.37 (1), 問題4.42.
問 の極値を求めよ.
6月3日 増大度
7.1. 無限大・小の比較
- 高位の無限大(定義4.52)と,高位の無限小(定義4.58).
- 対数,多項式,指数関数の比較(定理4.53).
- オーダーを用いたTaylorの定理の記述(定理4.59):
- Taylorの定理の例:命題4.62と定理4.63.
- 不定形の極限の例題4.85.
- Cauchyの平均値定理:が連続で上で微分可能,さらにかつは上で消えていないとき,
- 定理4.89 (L’Hôpitalの定理).
7.2. 演習問題
教科書の問題4.55 (4),問題4.57 (2),問題4.73 (1),問題4.92.
6月10日 定積分の定義
8.1. 定積分
- 区間の分割 (partition) . の分節 (segment) . ; 分節の幅..
- ;有界関数. ; の分割., ().
- 分割がの細分 (refinement)とは,任意のがあるに含まれること.このとき
特によってがある.
- 積分可能関数と定積分の定義5.6.
- Darbouxの定理5.10: , .
- 定理5.12: ;有界関数が積分可能なとき
8.2. 演習問題
教科書p.72の問題5.3, p.73の問題5.9.
6月17日 中間テスト
6月24日 定積分の性質
9.1. 定積分(つづき)
定理5.16 閉区間上の連続関数は一様連続.すなわち,, s.t.
定理5.17 ; 連続関数は積分可能.
9.2. 定積分の性質
- 線型性:命題5.23
- 区間に関する加法性:命題5.24.これを受けて,と定義する.
- 正値性:命題5.25.
9.3. 演習問題
教科書p.82の問題5.28.
7月1日 原始関数の計算法
10.1. 先週の続き
微積分学の基本定理5.29 が連続ならば,任意のに対して
はで微分可能で,, ()が成り立つ.
- 定義5.31: 原始関数.5.29から連続関数は原始関数を持ち,それは不定積分.
10.2. 積分の計算方法
- 部分積分(命題5.38)
- 置換積分(命題5.40)
有理関数の原始関数
定理5.47 多項式, に対して,
と展開できる.(は多項式).
この右辺の多項式を除く各項の不定積分は次で計算できる.
については,とおいて, ()と書く.
は漸化式
による.
10.3. 演習問題
教科書p.84の問題5.34. 教科書p.89の問題5.44 (1),問題5.45 (1). 教科書p.97の問題5.56 (1). 教科書p.98の問題5.58 (2).
7月8日 広義積分
連絡事項
来週の授業は火曜日1限.
11.1. 原始関数の計算(つづき)
- 三角関数の有理式(教科書5.6)
- 無理式—根号の中が1次式のとき
11.2. 広義積分
定義5.71, 5.87. ();連続関数.
が存在するとき,これを広義積分
と呼ぶ.
- 収束の判定条件:命題5.77.
- 絶対収束による収束判定:定理5.83.
11.3. 演習問題
教科書p.100の問題5.62 (1),p.101の問題5.64 (1),p.108の問題5.81. p.113の問題5.99 (1).
7月15日 海の日
7月16日 関数と関数
連絡事項
- 次回(2019年7月22日)に授業アンケートを実施するので,必携パソコンを持ってくること.
- 期末テストについて
12.1. 関数と関数
定理5.102 のとき広義積分
は収束する.これをガンマ関数という.
- 実は, ().
定理5.107 , のとき,広義積分
は収束する.これをベータ関数という.
12.2. 演習問題
教科書の問題5.101 (1), 問題5.103, 問題5.104, 問題5.106, 問題5.108 (1), (2), 問題5.108 (3).
7月22日 復習と質問
- 授業アンケートを実施しました.
13.1. 微分法の復習
- 微分可能な関数.
- 微分の基本性質:
- 線形性
- Leibnizルール
- 連鎖律
- 逆関数の微分
- 逆関数の存在条件
- 逆関数の微分
- 平均値の定理
- 回微分可能関数と級関数
- Taylorの定理
- 極値の計算への応用
- 不定形の極限
- Landauの記号.
- Taylorの定理の応用
- Cauchyの平均値定理とl’Hôpitalの定理
13.2. 積分法のまとめ
- 区間の分割とRiemann和
- の上限との下限が一致するとき,それを定積分と定義した.
- 区分的に連続関数は積分可能.
- 積分の基本性質:線型性,区間についての加法性,正値性.
- 微積分学の基本定理,原始関数と不定積分
- 不定積分の計算方法.
- 広義積分は積分の極限.有界性から収束が示せる.
- ガンマ関数とベータ関数
7月29日 期末テスト
成績評価について
成績は中間、期末テストの結果を総合的に判断して行います。
中間テストの連絡
- 6月17日の授業の時間に中間テストを行いました.
- 範囲:教科書の2章〜4章,4月8日〜6月3日の講義内容と,4月15日〜6月10日の演習内容.
- 教科書,ノートなどの持ち込みは禁止します.学生証と時計を忘れず持参してください.試験中の飲食は禁止します.
- 忌引,傷病などでやむを得ず欠席する場合は試験開始時間までに基幹教育教務係まで連絡してください.
期末テストの連絡
- 7月29日の授業の時間に期末テストを行いました.
- 範囲は強化書の4,5章と,5月13日から7月16日の授業内容,5月20日から7月22日の演習内容です.
- 教科書,ノートなどの持ち込みは禁止します.学生証と時計を忘れず持参してください.試験中の飲食は禁止します.
- 忌引,傷病などでやむを得ず欠席する場合は試験開始時間までに基幹教育教務係まで連絡してください.